生きてた

生存&ダイエット報告と、若干の考察やひとりごと

「射精責任」という本は原題を読んで世界の問題と向き合うと面白い!

なんかねぇ…

 

 

まず、「射精責任」という本が出たんです。

 

 

「そんな過激なタイトルの本が出たの?」ということはとても大事なテーマ

個人的には「うっ!」と驚いて引いちゃうようなタイトルなんですが…原題はもうちょっとニュアンスが違うんです。

 

 

順を追って説明すると、

 

原題:責任を持って射精する 中絶についての全く新しい考え方

原題だけ読むと、「責任を持って射精する」は、日本人からしたら性行為に於ける普通のルールだと思います。
全員ができてるかどうかは別として、概念としてはとても浸透した概念ですよね?

 

しかし、サブタイトルの

中絶についての全く新しい考え方

と合わせて読むと「原著者が生活する国(アメリカ)では、そうではない」ことをうかがい知ることができます。

 

避妊事情は国によってかなり違う。

まず、大前提として【日本はコンドーム使用率は世界トップクラスに高い】です。

もしかしたら世界一かもしれない…というぐらい高いです。

 

 

 

そして、統計によって異なるのですが…
・女性に避妊について聞いても「男性用コンドームで避妊した」という人が34.9%(国連
・コンドームメーカー『サガミ』によるデータでも、各県で45%前後はコンドームによる避妊が行われているそうです。

厚労省所轄の公益財団法人『JOICFP』の調査「性と恋愛 2021 ー避妊・性感染症予防の本音ー | 国際協力NGOジョイセフ(JOICFP)」コンドームの使用率は70〜75%程度だそうです。(※ただし、対象年齢は15〜29歳)

 

このように、調査対象がバラバラだし、年齢によっても大きな差が出ます。

 

これが多いか、少ないかについては【避妊する必要がある人】がどれだけいるかによるので、私には判断に困るところなので、議論はしません。

 

ただ、国連のデータでは世界との比較ができます。
「避妊=コンドーム」みたいになってるのは日本ぐらいです。
一方で、ヨーロッパでは、ピルがメジャーです。

 

ややこしいのはアメリカです。

かの国では不妊治療やIUDなども多く、女性が手の込んだ避妊をします。
一方で、ピルやコンドームといった欧州・日本でポピュラーな避妊方法は他の地域ほど普及していません。

 

つまり、「責任ある射精」という本は、アメリカの女性がお金をかけて手を込んだ避妊をするのが大前提な社会から生まれたものです。

 

その証拠にサブタイトルから「全く新しい」が抜け落ちてます。

邦題:望まない妊娠による中絶と避妊を根本から問い直す28個の提言

原題:中絶についての全く新しい考え方

ちなみに、アメリカはかなり中絶が多い国でしてね…

 

アメリカは中絶ができない州もある中で、これだけの数の中絶があるわけですから…望まない妊娠はさらに多い可能性もあります。

 

 

コンドーム大国日本のメリットは避妊よりもむしろ性病の少なさ

これ…メリットとデメリットがございましてですね…

日本のエイズ感染者について調べると、世界的にはものすごく少ないんです。

性病対策を考えたらコンドームはかなり優秀です。
だから、コンドームが浸透してる日本ではエイズ感染者も少ない。
インバウンド需要で外国人観光客が増える前は梅毒もすご~く少なかったんです。

 

なにしろ、中絶が少なくピルの使用率が高い欧州各国よりも日本の方が性病対策という意味では優れてますからね。
欧州だって、そこまで多くはないけど…日本ほどは少なくないです。

 

ましてや、アメリカは、エイズ感染者がすご~く多いんです。

避妊は色々な方法があるけど、コンドーム自体はそこまで浸透してないからエイズ感染者はめちゃんこ多いんです。

 

引用元:世界・HIV感染者数ランキング - 世界ランキング

 

 

でも、「中絶対策としての避妊」という意味では…ピルはあった方がいいんです。

 

引用:図録▽人工妊娠中絶の国際比較

 

というのもですね、「日本よりも中絶が少ない国」にはシンガポール・ドイツ・イタリアがあるのですが…シンガポールは国連でも避妊方法がわからないのです。
その代わりに、内閣府が「シンガポールでは中絶は限定的にしか合法じゃなくて、条件が厳しいよ」と調べてくれた資料があります。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa20/hikaku/pdf/p51_59.pdf

 

そうなると…ドイツとイタリアを調べることになりますが…

ドイツは超ピル大国。
イタリアはピルとコンドームが同じぐらいの割合。

という感じになります。

 

どっちにせよ、日本よりもピルが普及してる国で、中絶が少ないのです。

 

でも、中絶に対する効果は日本国内でしっかりあって、

避妊のためのピルが1999年に認可・浸透してから、横ばいだった中絶件数が下がってるんです。

 

日本ではピルが薬局で買えない(医者に処方してもらわないといけない)わけですが…薬局で誰でも買えるになったら中絶は減るかもしれません。

ただし!
ピルが世の中に浸透しない理由もちゃんとある。

明治大学ジェンダー学の先生が調べたところによると「副作用が心配だからピルを使わない」というのが大きな理由になっているらしい。

日本ではなぜ近代的避妊法が普及しないのか

 

世界約90カ国ではピルは普通に薬局で買える。
本当に危険な薬ならこうはならないはずだから、
「ちょっと警戒しすぎじゃね?」
とも思っちゃう節はあるのですが…

 

副作用があるのも事実。

低用量ピルの副作用で多いのは悪心・嘔吐 1.2~29.2 %、めまい 0.2~1.0 %、ふらつき 0.3 %、頭痛・偏頭痛 3.4~15.7 %、にきび 0.1~2.9% です。他に浮腫 1.0~3.2 %、 体重増加 0.8~2.2 %となります。

低用量ピル

まぁ…あわない人にはあわないから女性が「怖い」と思ったり、男性も「頭ごなしに勧められない」というのもわかるんです。

 

ただねぇ…

 

コンドームが性病対策にもなるし、手軽で女性への負担が少ないから
「基本線はコンドーム」
という考えには異議なしです。

 

一方で、
・望まない妊娠がピルが処方できるようになる前は、倍近くあったこと
・ピル自体は欧州先進国ではすごく普及してて、むしろ女性の最もポピュラーな避妊方法になってる
ところを見ると…ピルはもっと考えられてもいい選択肢なのかな?とも思ったりします。

 

…とか書くと、ジェンダーの話を腫れ物にしたがる人がいるから言うけど

 

可能性や選択肢があるなら模索できる方が救われる人もいるかもしれない

というすご~く普通の話です。

 

ぼく自身発達障害だから、
そういう概念が世の中に知れ渡ったことで救われたし、
左利きだから、左利きの道具や、左利きに向いてるスポーツに救われました。

 

性の話で「左利き」に当たる選択肢が少ない・用意された選択肢が不便な人にもっと色んな選択肢が手軽に取れるようになったらいいなぁと思います。

現実的には、真っ先にピルだよ?
でも、もっと多くの人が導入することで避妊の色んな方法をあらゆる場所で、手頃な価格で実現されている中で選べるようになったらいいなぁ〜と思います。

 

 

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